【今週の通勤BGM~僕を奮い立たせた音楽、僕を癒した音楽~vol.3】

さて、通勤BGM第3週目。

いってみよう!

 

10月22日(月)

・出勤:UNITED ”Absurdity” (2018)

ABSURDITY

ABSURDITY

 

スラッシュメタルとは、速さと凶暴さが売りで、力強い楽曲が集まるもの。

日本のスラッシュメタル史を支えたUNITEDの10枚目であるこのレコードは、非常にストーリーがある。

31年に渡りバンドを支えたベーシスト・横山明裕氏が、2014年にこの世を去った哀しみを乗り越え、作った故。

ベースサウンドと英語の語りから入り、UNITEDらしいサウンドがスタート。

横山氏が愛した餃子を揚げる音、缶ビールの開封音、そしてピアノサウンド、HEAD PHONES PRESIDENTのヴォーカル・ANZAの哀しみを表現した美しい女声…

リーダーを失くしたバンド、作曲の指揮官を失ったバンドが懸命に作り込んだ作品は、各方面で傑作と呼ばれている。

 

【”Absurdity” Teaser】


UNITED “Absurdity” Teaser

 【Arise (Official Music Video)】


UNITED – Arise (Official Music Video)

 アルバム発売直前に発表になったミュージックビデオ。楽しみにしていたアルバムを待てず、残業の苛立ちの中、この映像を観た…笑顔でガッツポーズ!

【”Making of Absurdity” (Behind The Scenes)】


UNITED “Making of Absurdity” (Behind The Scenes)

10月23日(火)

・出勤:ANTHRAX ” Sound of White Noise” (1993)

Sound of White Noise

Sound of White Noise

 

 何とかっこいいへヴィメタルレコードなんだ!

アメリカらしいカラッとした空気で気持ち良く、大きい空に駆け巡るような気持ち良いヘヴィメタル。

ギターソロも決して速弾きで音数重視…ではなく、ブルーズの顔も見せるキャッチ―なフレーズを持つ。

 

ANTHRAXはNYのバンドで1981年に誕生。

その頃生まれつつあったスラッシュメタルというジャンルを生んだ最重要バンドとして、欧米では“BIG 4”、日本ではスラッシュ四天王と呼ばれる4バンドのうちの1つ。

その他は、MEGADETH、SLAYER、そしてメタルファンではなくても洋楽ファンなら耳にしたことのあるアメリカの巨大バンド、METALLICA。

 

1980年は世界でヘヴィメタルブームが巻き起こったが、90年代に入るに当たり、グランジやオルタナティヴロックという新たなロックの形が誕生し、メタルはメインストリームから離れていった。

90年代、多くのメタルバンドは試行錯誤する。

流れに乗れず解散するバンド、上手く流れに乗り、より巨大化していくバンド。

後者の良い例であり数少ない例がMETALLICA。

そこまで巨大化しなかったが、メイン市場の音楽を取り入れ、生き残ったのがこのANTHRAX。

 

ということで、へヴィメタルを愛する人たちからすれば、90年代のメタルバンドの音には拒絶反応を示す人が多い。

このANTHRAXにしても、80年代とこのレコードで全く表面的には違う。

しかし、よーく聴いて欲しい。

80年代のANTHRAXは別物と考えると、これは真新しいバンドの作品と考えると、かなり完成度が高い!

 

“This is the journey into the sound”というテレビリポーターの台詞のようなものから、このレコードはスタートするのだが、11曲が多種多様で旅しているような心地になる。

へヴィなキレの良い音楽として、80年代のスラッシュ期に負けず、今作もビールが合う音楽。

【Only (Official Video)】


Anthrax – Only (Official Video)

今も尚歌い継がれている90年代の唯一といっていい曲。

METALLICAのジェームズ・ヘットフィールドが“Perfect”と言ったという一曲は、やはり現在のセットリストは80年代の多くのANTHRAXファンが求める曲たちの中で歌われるので、浮いて聴こえがちだが、いやいや、このレコード通して聴くと、素晴らしい。

(参照:https://en.wikipedia.org/wiki/Sound_of_White_Noise

 

【Black Lodge (Official Video)】


Anthrax Black Lodge

 90年代のハリウッド産クライムサスペンス映画風なビデオだが、僕にしたらこれは、モダンなマカロニウエスタン、90年代の技術で撮影した西部劇映画が見えてくる。

孤独な男が旅先で出逢った女を守る為、悪党と闘う…みたいな。

 

【Room For One More (Official Video)】


Anthrax – Room For One More Music Video

 キレがいい。男の音楽だが笑顔が見える、爽やかさというか、スポーツ後の清涼感と言う感じ!

 10月24日(水)

・出勤:ANTHRAX ”Stomp 442” (1995)

ストンプ442

ストンプ442

 

これまでまともに聴いてなかった“Sound Of White Noise”に惚れ込んだので、その次作であるこのレコードを聴いてみた。

なぜ興味も無いのに持っていたか…たぶん、中古レコード店で安かったからかと。

80年代の要素は綺麗さっぱり無い…がよく聴こう、精神性は何ら変わってないんじゃない?

世間では90年代に入ってメタルバンドは魂を売ったという人も多いが、芯の部分は変わらない気がする。

芯とは次の3つ。

 ①曲のキャッチ―さ。リスナーを引き込んで、楽しく笑顔でクレイジーに走らせる、ジャンプさせる感じ。

②変にシリアスさを持たず、ジョークのような軽いリズムを持つ感じ。

③笑顔でバンドが演奏しているのが見えてくる曲。

 このレコードは、これというキメの曲が無い気もするが、歪んだギターの良きリズムやマッチョな心優しき兄貴感あるJohn Bushの声が心地良い。

この作品からこれまでリードギターを弾き、ギターソロを担当していたダン・スピッツが辞めたが、ANTHRAXの創設者でありもう一人のギタリスト、スコット・イアンがその穴を埋める…。

と思いきや、彼は元々ギターソロに興味が無く、ギターリフ(リズム)に魅力を感じている人ということで、ゲストを呼び、ギターソロを弾いてもらっている。自分の心に徹する姿、侍だ。

 【Fueled Music Video】


Anthrax – Fueled 

 

・帰宅:ADAGIO ”Underworld” (2003)

アンダーワールド

アンダーワールド

 

 フランス人天才ギタリスト、ステファン・フォルテ率いるバンド(当初はプロジェクト)の2枚目。

クラシックを取り入れるへヴィメタルバンドは数あれど、これほど『クラシック』という言葉を大事にしたレコードはないんじゃないか?

2000年代にヘヴィメタルというフォーマットで、古典的なクラシックの大曲を書いたらどうなるか…その回答がこの作品ではないかな?

クラシック好きに是非聴いてみてほしい。

クラシック感が非常に強く、クラシックとへヴィメタルそれぞれの『ダークな美しさ』の重なる点を仰々しいドラマで表現したのがこのレコード。

ベートーヴェンやバッハなんかがこれ聴いたら、どう感じるだろう。

 

【promises】


adagio – promises

 6曲目であり唯一5分台の曲。

このバンド1枚目、2枚目のヴォーカルはデヴィッド・リードマンという英国人のシンガーだが、彼の魅力美しい声、男勝りな声が光る、悶絶ものの一曲。

 

10月25日(木)

・出勤:COCOBAT ” Fireant Moving Co.l” (2004)

Fireant Moving Co.

Fireant Moving Co.

 

HI-STANDARD主催のフェス、AIR JAMに97年、98年と初年度から2年連続参戦している日本のラウド・ロックシーンを支えるバンドの7枚目。

ヘヴィメタルだけど軽く、キレが良いギターリフに、メタリックな音には珍しい跳ねるベース(=スラップという奏法)でバッキバキに攻めていくのは気持ち良い。

実際ライヴでもこのヘヴィなメタリックサウンドで跳ねるのは唯一無二だし、一曲ずつ一礼する礼儀正しさを持つ。

 

ただこのバンドに言いたいことが2点。

曲がかっこいいが、似たり寄ったりなことと、ヴォーカルが客を見ず、人見知りなのか、目線を上げ、天井を見ながら歌うこと。

ヴォーカル、渋い声がかっこいいけど。目線を逸らすから、対峙してる感がないねんな…やっぱライヴは本気と本気のぶつかり合い。

バンドと客はお互い楽しみながら叩き合ってるわけだから、ここは改善してほしいな。

今作、メタル界の名プロデューサー、フレデリック・ノルドストロームが手掛けるが故か、しっかりとしたいい音。

 

【FIRE ANT (Official Music Video)】


COCOBAT – FIRE ANT

10月26日(金)

・出勤:PULLING TEETH ”フッコ―ブシ” (2014)

フッコーブシ

フッコーブシ

 

COCOBATの創設メンバーの一人である寿々喜氏がギター・ヴォーカルを務める、スリーピースバンドであり、日本のラウドロックシーンを支えるバンド、PULLING TEETHの7枚目。

もう何回も聴き込んでいる。100回以上は聴いている。

ウッドベースが入っているラウドロックバンドってだけでも面白いが、なんとも僕が惚れた理由は、このレコードが攻撃的なラウドロックに演歌の歌唱法を取り入れ、昭和の男像を歌っているという点。

レコード名”フッコ―ブシ”というだけあり、東日本大震災の影響を受け作られた作品で、歌詞に凄いその点が見えてくる。

【和を背負う(OFFICIAL VIDEO)】


PULLINGTEETH -和を背負う(OFFICIAL VIDEO)

 強烈なドラムスから入る1曲目。

このドラムイントロは打ち上げ花火をイメージしたそう。

和のイメージを持った、攻撃的なロック。歌い回しの昭和感が絶妙で、また切り絵を取り入れたこの映像の昭和感がかっこいい。

 

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この記事を書いた人
音楽ライター「監督」

音楽ライター。昭和の末に生まれ、平成の大阪で育ち、革ジャンを羽織り、ロックシャツを着て、ベルボトムに下駄で東京の街を闊歩する。「音楽は耳で観る映画」をテーマに、音楽から感じるイメージを文章にし、ライヴレポートやライナーを書いています。

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