【ミュージカルか?ロックンロールか?THE STRUTSに心踊ろう、笑顔になろう!】

ヤング&デンジャラス

今や年に1~2本、ハリウッドから大ヒットミュージカル映画が登場する。

生粋の映画ファンではない人たちも、デートに遊びにこそって映画館に足を運んでは、その跳ねるリズムに心を躍らせ、カラフルな世界に目を輝かせ、爽やかなメロディーと歌声に笑顔になる。

そうして、仕事や学校生活で溜まった平日の疲れを、週末に映画館で踊って笑って、スッキリする人が本当に多い。

10年前だとこんなことは無かったのだが、今やミュージカル映画は世界的に市民権を得て、世界中たくさんの人を幸せにしている。

今日紹介するのは、英国生まれ、世界のロックンロールレジェンドに愛され、ハリウッドで大成功したバンド、THE STRUTS

ロックンロールを愛する人はもちろん、ミュージカルを愛する人にも是非、このバンドの音楽を一度でいいから聴いてみてほしい。

きっと、皆楽しんでくれるはず。

ミュージカルもロックンロールも愛する僕が、断言する。

(参照:http://www.billboard-japan.com/d_news/detail/35885/2

ミュージカルを観て感じる楽しさ、どんどん展開していく色彩豊かな世界や心弾むリズムや美しい歌声、音楽にワクワクするフィーリングは、決して、映画館や舞台でミュージカルを観劇しているときにだけ得られるものではない。

THE STRUTSの音楽を聴いて欲しい。

そっと目を閉じて、耳から入る彼らの音楽に集中してほしい。

閉じた目の前のスクリーンに広がる世界はどう?

七色の色、大空、キラキラして弾ける歌い声…

そう、ミュージカルの世界をあなたは彼らの音楽で体験できる!

THE STRUTSは、誰もが簡単に乗れる軽快でポップなリズムを持っている。

鮮やかな七色の輝きを見せる曲を持ち、気持ちの良いハイトーンで爽やかに歌い上げるメロディーを持っている。

彼らはロックンロールバンドでありながら、圧倒的な絵力と誰もが乗れるリズム、キャッチ―なメロディーを奏でることで、リスナーをハリウッドのミュージカル映画のような世界を体験させる音楽に引き込むバンド。

ミュージカルファンのあなた。あなたは、どこでもミュージカルを体験できる。

超満員の通勤電車の中でも、休日一人で過ごす自宅でも、関係ない。

どこへいようとTHE STRUTSの音楽を聴くと、きっと笑顔になり、胸が弾み、ワクワクできる…

きっとミュージカル映画を観ているような心地になるはすだ。

(参照:https://www.facebook.com/thestruts/

僕はこのレコードを買うつもりなんて無かった。

ただ、あの日のテンションが、救いを求めていた。音楽によって笑顔に心を躍らせたいと…。

前回、の新譜レビューと状況は同じ。10月31日ハロウィンの夜。渋谷へあるバンドの新譜を買いに行ったのだが、皆さんご存知のお祭り惨事。

とにかく歩けず、ろくに買い物すらできない。現場はニュース以上の地獄絵図。

何とかレコード店に到着した時には何とも言えない感情でいっぱいになり、仕事での疲労感もどっと両肩に押し乗り、財布の中身も寂しかったのたが、気づいたら当初の予定の新譜に加え2枚も、買っていた。

1つは前回のアルバムレビューとして記事にしたポーランドのバンド、BEHEMOTH(レビューはこちら

そしてもう一枚が今回紹介するこのレコード、

THE STRUTSの2nd“Young & Dangerous”である。

ヤング&デンジャラス

ヤング&デンジャラス

BEHEMOTHとTHE STRUTS、音楽性が天と地ほどに違う2枚を選んだものだ。笑

同じロックの世界ではあるが、両極端に位置する2バンド。どちらも傑作なのだが、これらをさらっと選ぶ自分のふり幅に当の本人もビックリするんだから、僕のブログを読んでくれている人は、尚更、僕のことを掴みにくいだろう。笑

10月から通勤時のBGMも記事にしているので、僕の音楽性はそこから少しずつ掴んでもらえれば幸いです。(→通勤BGM記事一覧

少々脱線したが、THE STRUTSだ。とにかくこれを聴いて欲しい。

Twitterで、音楽ライターの増田勇一氏が本作品を絶賛していたことが頭の片隅に残っていたので、ハロウィンの夜、渋谷のタワレコ、ロックフロアに到着して真っ先に目に付いた視聴機で本作品を見つけ、何気なくヘッドフォンを着けてみた。

一曲目のコイツに、完全心は晴天、色彩豊かに輝いた。


The Struts – Body Talks

軽快な指鳴らしから始まり、オシャレに歪んだベース。爽やかでセクシーなヴォーカルラインからの派手なコーラス。クラシックロックに通ずるトーンのギターソロ…

元々、僕の母親はミュージカルが好きで劇団四季を子供の頃よく観させてもらっていたのだが、この曲を聴いた瞬間、あのミュージカルを観て得る高揚感を思い出した。

そして日々の仕事やこのハロウィンの夜の疲れを綺麗さっぱり吹き飛ばしてくれ、見事笑顔に、ポジティヴな表情に変えてくれた。

そして2曲目がこれ。


The Struts – Primadonna Like Me

カウベルとピアノを隠し味に入れた、爽やかな音楽に。渋い歌い回しから大空に広がるハイトーンまで歌いこなすヴォーカル。

2017年に大ヒットしたミュージカル映画”ラ・ラ・ランド“の冒頭。LAのハイウェイ。

渋滞でたくさんの車が身動き取れない状態。クラシックなカラフルな車から1人、また1人と降り立ち、歌い踊る。

どこまでも広がる大空と共にカラフルな車、パステルカラーの衣装を身に纏った男女が歌い踊る絵…

こんな、ミュージカルファンの心を必ず掴むカラフルなダンスシーンが、この曲から見えたきた。

もちろん、THE STRUTSは4人組のロックンロールバンドだけど、ミュージカルのフィーリングを感じる。

続く3曲目は、もうキャッチ―過ぎるミュージカルな曲。


The Struts – In Love With A Camera (Audio)

爽やかな曲、カラフルでキラキラするメロディー、とっつきやすいコーラス。ファルセットな声(突き抜けるような高音)も聴ける。

4曲目は、ミドルテンポの為、ユニークなメロディーが光る。


The Struts – Bulletproof Baby

オーディエンス全員が笑顔でコーラスしている絵が見える。

この後も、80年代ディスコポップ調の“Who Am I?”や、手拍子を織り交ぜたユニークなリズム、展開、ギターソロが聴ける”I Do It So Well”など面白いものが聴ける。

バンドは、1stアルバムリリース後、大物ロックバンドの前座に大忙しだった。

THE WHO、ROLLING STONES、FOO FIGHTERSと錚々たる顔ぶれの前座として、若手では体験できないような大規模なステージで、ロックに対しよく耳の肥えた聴衆の前で来る夜も来る夜も、演奏した。

(参照:https://imgur.com/r/Foofighters/rEe1BPQ

その合間を縫って、このレコードに収録された楽曲は書かれていった。

伝説的なバンドの前座とはかなりのプレッシャーである。また一方で、とてつもなく大きなステージで大勢の観客の前で演奏できるチャンスの日々。モノにすれば、得られるモノは大きい。

彼らの前座っぷりがどうだったか、そのライヴの日々の合間に作られた、この作品を聴けば一聴瞭然。キラキラするポジティヴなフィーリングは、彼らの今そのものなんだろう。

また今作で数名のプロデューサーとコラボして曲を書いているのだが、懐かしい名前を見つけた。

ブッチ・ウォーカー。

ポップロックをプロデュースさせたら素晴らしい才能を発揮する彼。過去に手掛けたのは、洋楽ファンなら耳にしたことあるだろうAVRIL LAVIGNE。

そして日本のPUFFY。

”Fire(Pt.1)”で聴けるのが、国内外大物ポップミュージシャン、ブッチ・ウォーカーのマジック。見事な物語性のあるポップロックだ。


The Struts – Fire (Part 1/Audio)

THE STRUTS、よくこう言われている。1970年代、英国で生まれた煌びやかなロック革命、グラムロックの再来とか、QUEENのよう…とか。

ギターはQUEENのブライアン・メイを思い出すフレーズが聴けたりするし、ヴォーカルも時にフレディのようなヴォーカルラインもある。

見た目も1970年代グラムロックそのもの。影響を受けているのはよく分る。

ただし、QUEENはあくまで、影響源の一つ。CDのライナーではメンバー4人のコメントがあり、それぞれがこの作品を作るに当たり感謝の弁を述べたい人の名前を連ねている。

マネージャー、スタッフ、プロデューサー、そして家族。そこにヴォーカルのルークは、影響を受けたミュージシャン、バンドも並べているのだが、その名前が様々。

クラシックロック、ハードロックの元祖たちから、ファンクの帝王やヒップホップのアーティストまで。さらに、危険な香りが強く彼らとイメージが全く合わない、Cypress Hillというヒップホップグループの名が入っていたことは意外だったが、逆に幅広く音楽を聴くのだと好感を持てた。

QUEENの印象は強いし、QUEENファンには大ウケすると思う。この作品がリリースされた今、世界に続きここ日本でも、QUEENの映画“Bohemian Rhapsody”が大ヒットしている。

きっと、映画館でこのレコードをBGMとして流すといいプロモーションになるだろう。

しかし彼らはQUEENではない。彼らは、THE STRUTSだ。

QUEENは、もっと「キレとへヴィさのあるハードなロック」。

また、純粋なロックもあれば、カントリー調、独特なクラシック調、ディスコっぽいものなどなど守備範囲がかなり広い。多彩だし、音に深みがある。

そんな楽曲に乗るフレディの声は、それぞれの詩の世界を演じる役者のよう。声の音域、声色の多彩さは逸品。

一方のTHE STRUTSは、メロディーも楽曲もいい。何度も言うようにミュージカルっぽいテイストがあり、「皆が楽しめるカラフルなポップロック」というのが主軸。

QUEENほどのハードさはないが、万人を笑顔にさせるポップ。ライヴでのオーディエンスとの掛け合いをイメージしたような、拍手を楽器とした曲が多い。

QUEENは哀しみを帯びたイメージの曲もあるが、THE STRUTSにはそういった類のものはない。全てにおいて、ポジティヴな煌びやかさが光る。

これは、先述の通り、ダイナミックなロックバンドの大規模なショーの前座を務め上げ、ロックンロールショーを創り上げることに成功したからか。はたまた、現代の名プロデューサーたちが彼らの良いところを引き出したからか。

はっきりとした要因は分からないが、一つ言えることは、

「THE STRUTSの4人がやりたい音を全力で楽しんで演奏している」ということだろう。

こんなにもリスナーを陽気にさせる音楽は、偽りの心ではできない。彼ら4人は全力で楽しんでいるのだろう。

THE STRUTSには、将来性を感じる。

音楽史と彼らの立ち位置を考えれば、ハードロック・へヴィメタルの世界でプロモーションされるのも分からなくはないが、それだけでは勿体ない。

ハードロック・へヴィメタル世界のリスナーにも、良いメロディーを好む人は多いので間違ったプロモーションではないが、もっと広く音楽ファンに訴えかけたい。

しかし、彼らの新譜リリースインタビューが、HR/HM専門誌BURRN!とrockin’onにしか載っていないのが残念だ。

ネットインタビューやその他どこかで取り上げられているかもしれないけれど、もっともっと広くプロモーションしてほしいな。

もし僕が彼らの宣伝マンだったらこうだ!

「英国に生まれた4人組のオシャレなロックンロールバンドは、あなたをカラフルなロックンロールの世界へと誘う。そうだ、これはミュージカル!キラキラした絵、誰もが笑顔になれるリズムに爽やかなメロディー。THE STRUTSに心弾ませ、踊ろう、笑顔で歌おう!」

ヤング&デンジャラス

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この記事を書いた人
音楽ライター「監督」

音楽ライター。昭和の末に生まれ、平成の大阪で育ち、革ジャンを羽織り、ロックシャツを着て、ベルボトムに下駄で東京の街を闊歩する。「音楽は耳で観る映画」をテーマに、音楽から感じるイメージを文章にし、ライヴレポートやライナーを書いています。

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