あなたは、どんなバンドが好きですか?
「かっこいい音を出すバンドだね」
「いや、テクニックが凄いバンド。神がかっている技を目の当たりにしたい」
「とにかくヘヴィでスピーディーな、ぶっ飛んだバンドが好きだな」
「身体が自然と乗れるバンドかな。音楽でリラックスしたいから」
「ライヴで極めるバンド!俺らファンを昂揚させ、燃え上がらせるバンドに尽きる」
この質問に対する答えは無限にあり、そのどれもが正解。
あなたは、ご自身に合ったバンド像を持ち、日々、それに近いバンドを世界中、古今東西、古くも新しくも音楽を求めているだろう。
ちょっと角度は変わるが、こんなバンドはどうだろうか。
「今まで想像できなかった世界へ連れてってくれるバンド」
「見たことのない景色を見せ、客をワクワクさせてくれるバンド」
僕は、今、プロレスに熱狂している。30代を少し過ぎて、遅咲きのプロレスデビュー。
好きになったら、好奇心を爆発させ没頭する性分なので、2019年2月以降、ほぼ毎日、プロレスの試合や選手のドキュメンタリー動画を観て、また選手の自伝を読んでと、入れ込んでいる。
この解釈のバンド論はどこから来たかというと。
今、新日本プロレスで大人気のユニット、ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンを率いる内藤哲也選手の言葉。
そして、そのユニットに属する、SANADA選手の言葉である。
ここで、この2選手のことを書くとエグイ文章量になるので、興味ある人は、この記事の最後にいくつかリンク貼っておくので、そちらを確認して頂きたい。
音楽に話を戻そう。
かっこいい音楽で魅せてくれる。
ライヴで魂をファンの心を爆発させ、生きる力をくれる。
そりゃ、カッコいいバンドの条件だろう。
但し、もう一歩、上がある。
僕が言いたいのはこうだ。
「バンド自身がどんどん成長し、応援する僕たちファンの予想を“いい意味で”裏切って、『こんなことまで挑戦するのか!』といった、ドキドキ・ワクワクする作品、ライヴ、ニュースを提供してくれるバンド」
こんなバンドこそ、僕らは応援し甲斐がある。
例えば、こうだ。
大好きなバンドが、会場全体を沸かせるようなライヴをやったら?
大好きなバンドが、待望のCDをリリースしたら?
大好きなバンドが、海外でツアーをやったら?
お気に入りのバンドの成長は、嬉しいもの。
それが予想を超えるものだった時。
僕たちが思い描けなかった素晴らしい世界へと、彼らは連れてってくれる。
ここ最近そんな姿を、プロレスラーに見ていたのだが、こと音楽で言うと。
JASONSは、僕にとってそんなバンドなんだ。
初めてJASONSを観たのは、JASONS初の関東遠征、1st EPをリリースした頃だった。
バンドが誕生して間もない頃であり、MCなんて無く、スピードで圧す、スプラッターな曲とへヴィでテンポを落とし、恐怖に陥れる曲をミックスさせ、独特なホラー映画のような世界を作っていた。
棺桶があり、中からゾンビが登場して、パーカッションタイムもあり、ド肝を抜かれた。予想を遥かに超えるショーを提供してくれた。
その後、リーダーであるジェイソン1号は、テープを関東のライヴハウス中にばら巻き始める。
仲の良いバンドに呼んでもらう…ではなく、己を信じ、自分の音楽を配布し、心が通じたライヴハウスでプレイする。
この頃は、完全アウェイな会場で、全く同系統ではないバンドと対バンしていることもあった。
アウェイな空間でもいつもと変わらず、MCもなく、ひたすら攻撃的な波動を音で繰り出す。
ポカンとした表情のお客さんも多かった。
ほどなくして、彼らは関東でのホームとでもいえそうな場所、福生と出逢う。
同地で開催された野外イベントにも出場、炎天下の中、熱いメタルは新世界だった。
その福生へ再び舞い戻り、完全に場を掌握した夜があった。
東の地で名もなきバンドが地道な活動の末、勝ち取った景色。
その場に集いし音楽野郎共を虜にした景色。
関東へ殴り込みに来たその夜から、苦しい夜も懸命に自分の音楽を叩きつける彼らを見てきたから、もう感動でしかなかった。
僕を、関東のJASONSファンを、まだ見ぬ、予想だにしなかった世界へ連れてってくれた。
2018年のその夜をきっかけに、僕はこうして、JASONSの物語「蓋世不抜」を執筆し始めた。
誰に頼まれた訳でもない。
ただ、あの夜の感動がかなり大きく。物語が見えたから。
続編が書けるようシリーズ物にしているのだが、バンドには申し訳ないが、実はこう思っていた。
「これ以上の夜はあるんだろうか。ここで一つのゴールを迎えたのでは?」
しかしそんなことはなかった。
彼らは、本物のバンドだ。
2018年末、彼らの地元、Crystal Lake(=名古屋)で、大きなイベントを興した。
2つのライヴハウスを会場としたフリーイベント(ドリンクチケット2枚購入)を開催した。
名古屋だけではない、関東、大阪、九州からも呼び、総勢22バンド。
正直採算は大丈夫かなと不安を感じたが、お客様が大喜びしていたのは言うまでもない。
お客様を大事にするバンドであり、仲間からも人望を得ているJASONSだからこそ、実現したのだろう。
そして、次だ。
JASONSは、突然とんでもないニュースを叩きつけた。
(参照:http://metalbattlejapan.com/)
世界最大の、ドイツで毎年開催されるメタルフェス、WACKEN OPEN AIR。
約10万人ものメタル野郎が世界中から集まるこのフェスのでは、各国代表インディーズバンドが対決するコンテスト、METAL BATTLEが開催される。
この日本代表を決める決勝ラウンドに残ったんだ!
「おい、ほんまか!?ほんまにJASONSが?」
仕事中だったが、とてつもない興奮と感動で体内が燃え盛った。
僕は本当にファンだ。
JASONSが大好きだし、関東のライヴではずっとフロアを盛り上げてきた。
しかしまさか、このコンテストに応募すると思わなかったし、まさかちゃんと結果を出すなんて、こんなデカいバンドになるなんて、想像もできなかった。
そして、
「もう僕の手の届かん存在になるのかな」
なんて、ちょっとだけ寂しい気持ちにもなったことを正直に告白しておこう。
さて、決勝進出と決まったのなら、行かない訳がない。
「絶対フロアは俺が何とかする。」
これまで彼らの関東でのショーで走り回ってきたんだから。
他のお客さんが唖然とする中、僕は走ってきた。
「フロアは俺に任せろ…」
僕はバンドメンバーでもなんでもないが、勝手に何かを背負い、一緒に戦っている気持ちになった。
事前にJASONS1号は言っていた。
「いつも通りやる、ただそれだけ」
そう彼らはいつもそう。
始めての関東ライヴでも、対バンが全然違うアウェイでも、東京での足がかりを掴んだときでも。
いつも誰にも媚びず、真っ向から自分たちを押し出した。
METAL BATTLE JAPAN 2019決勝ラウンド、当日。
1stアルバムの1曲目のSE。
お経が場内に響き渡る中、舞台袖…ではなく、いつも通り、客席から登場。
知ってる人はニンマリと、知らぬ人は何だコイツらとビックリし。
重く爆音で走り抜ける一撃、“Motordead”でスタート。
「回ってけ、つまんねーよ。ドイツなんて後からついてくんだ。お前らと喧嘩しに来たんだ」
とギターヴォーカルの1号がオーディエンスに檄を飛ばした。
「これこれ、やっぱいつもと同じや」
一安心したのも束の間。
この言葉…俺がフロアを盛り上げんと。
いつも通り、音を全身に浴び、暴れ回った。
2曲目は、これまた完璧、スピードで決める“GAZA”。
中盤、これまたJASONSならではの、いつもの時間が始まった。
リズム隊だけがフロアに残り、1号がギターを置き、客を煽りにフロアへ。
いつもならここでビールを買いに行くのだが、この日はお客さんが多くて叶わず。
正直こういうクレイジーな行動をしなければ、もう1曲くらい演奏できるのだが、きちんとお客さんとコミュニケーションを取り、自由に羽ばたき、ライヴハウス全体でショーを作るJASONS。
いつも通りの彼らにホッとする。
3曲目、客電をつけようスタッフに告げると。
「俺、そこ(フロア)で歌うでよ。フェスだからって関係ねぇ。いつも通りやってんだ。お前らがおるから来とるんだ。喧嘩しにきたんだ。もっとかかってこい。コンテストなんてどうでもいい、歴史に汚点を残してやるぜ」
と改めて言葉を投げ、1号はフロアに降り、マイクをセッティング。
再び、ファンはいつもの楽しい光景にホッとし。
初見の人たちはびっくり。2曲で心を掴まれているからこの常識外れの行動に大熱狂。
「楽しもうぜ」
との言葉で始まったのは、皆で『ゴリラコーラス』ができる、1st EPのラスト、”Cytoclasis”
まさか、こんな大事なコンテストでもこの景色が見られるなんて…
感傷に浸りつつ、走った。
お客さんの数も多かったので、サークルは小さかったが、僕含め、5~6人はいたと思う。
小さく、また、密集した酸欠の場。
15分走り続けた、盛り上がりを止める訳にはいかん、もっともっと、もっとフロアを熱狂の渦に…
ヘヴィなスピードで駆け抜ける3曲。
楽しい時間は一瞬にして終わった。
結果、ドイツへの切符を手にできなかったが、大成功。
たった3曲だがそこには、彼らの魅力がギッシリと詰まっていた。
攻撃的な曲、スリーピースでは考えられぬ爆音の塊、演奏の巧さ、ガッツ、そしてMCでの人柄と初見の人をもドキドキ・ワクワクさせるショー運び…
JASONSの魅力を、アンダーグラウンドメタルシーンを盛り上げるイベントに集まった人たちに伝えることができた。
当日の様子をこちらよりご覧頂ける。
バンドの楽しげな様、会場の熱狂…常に彼らのライウで走ってきた身として。
2018年福生での爆発に近い、会場のJASONSに対する興奮を感じた。
今回の記事を執筆するに当たり、何度もこの映像を観ているのだが、ふと思った。
「彼らは本当にドイツに行きたかったのだろうか。この、アンダーグラウンドメタルシーンが注目する一大イベントに注目するメタルキッズたちに、自分たちを知ってもらう為、出場を決意したのでは?もちろん優勝するに越したことはないが」
JASONSの躍進は止まらない。
もう一つ、彼らは、ファンがまだ見ぬ、ビックリさせる世界を見せてくれた。
「おいおい、マジか…」
ビックリして、開いた口が塞がらなかった。
彼らは、浜松の盟友、ALL THAT GROOVIN’と共に、アメリカツアーに出た。
ファンが予想できなかったバンドの姿、ワクワクする世界を提供してくれた。
小さな島国、日本。
その中の熱くも小さな市場、ヘヴィメタル。
そんな世界で活躍するバンドでも、ガッツと気合があれば世界で戦える。
今回のツアー、きっかけはJASONSのリーダー1号が、2016年だったか、ギター片手にLAへ飛んだことにある。
その目的は、アメリカでギターを弾く為、自分の音楽を広める為。
観光客は危険でなかなか近寄りがたいライヴハウスへ飛び込み。
交渉し、演奏する。
アメリカのロック野郎たちと共に爆音を浴び、共に呑み、心を音楽と酒で通わす。
そして自身のバンドの音源を配布し、きっかけを探す。
その活動が数年後に実り、このツアーとなった。
もちろん、アメリカへいこうが彼らは何にも変わらない。
いつも同じスタンス。
アメリカだろうが、フロアで演奏したし、正面からぶつかったようだ。
その様子がFacebookに少し出ていたので、紹介しよう。
どうやらアメリカも彼らは大いに楽しんだようだ。
JASONSの心は、現地のメタルキッズにも通じたよう。
JASONSよ、あなたたちはどこまで大きくなるんだ。
どんなけ、僕らファンが想像する以上の世界を、ワクワクを、ドキドキを提供してくれるんだ。
彼らは凄い、それは間違いない。
しかし忘れてはいけないのが、それがただたまたまヒットしたようなものではなく。
努力の積み重ねであること。
己を信じることをやめず、成功するか分からないけれど、少しでも可能性があるならばバンドのプロモーション活動を実践し、掴んだステージのチャンスは流されずぶれずいつも通り。
そうして走り続ける結果であること。
簡単にはできない、普通の人ならやらない、無謀な1人アメリカ武者修行のような、とんでもない行動をやってのけた結果、掴んだ成長、ということ。
惚れてしまう、こんな漢らしいことをやられたら。
これからもついていく。
さぁ、次はどんな世界を、景色を見せてくれるのか。
アメリカへ行けば、もうこれ以上は…と思ってしまうが。
その予想をいい意味で裏切る、デカいことをやってくれるだろう。
とポジティヴに次の驚きを待っていた。
正直、METAL BATTLEで圧巻のショーを見せたので、その場にいたメタルキッズたちの炎が消えぬうちに東京でのライヴを…と思っていた頃。
ビックリするニュースが舞い込んだ。
「JASONS、ドラムス募集」
えっ。
METAL BATTLE決勝進出、アメリカツアー。
同じ驚きでも、これまでと正反対の感情が襲った。
ドラムス、2号。
気さくに接してくれる力持ちな兄貴。
僕にはそんな存在。
メンバー皆そうだが、この2号も。会えば、ホッとする方だった。
脱退発表は、まだ。
しかしこれは何だ。
JASONSとはギター兼ヴォーカルの1号がリーダーとなり、曲を書き、バンドを引っ張っている。
しかしバンドの誕生まで立ち返ると、きっかけは1号と2号。
ギターとドラムスがそれぞれ別のパンクバンドで活動していたが、ある打ち上げで意気投合したことが全ての始まり。
そう、この2号なくして、JASONSは無かったかもしれない。
このまま、JASONSはどうなるのか。
これは確実に、新たな世界を見せてくれる前兆だが、果たして。
1人のファンとして、次の発表を待とう。
僕はファン。
バンド内で何が起こっているのか分からないが、とにかく次なる声明を待とう。
JASONS。
彼らはいつもいつまでも。
ファンをワクワクさせ、ドキドキさせ、驚かせるような。
世界を提供してくれる、最強のバンドだ。
METAL BATTLEで演奏した3曲中、MVが2曲あるので、最後に紹介しよう。
—————-<参考リンク>—————-
- 2016.5.3 FUKUOKA TETSUYA NAITO vs TOMOHIRO ISHII MATCH VTR – YouTube
- 【煽りVTR】オカダ・カズチカ vs SANADA【新日本プロレス 2019.5.4 福岡大会】 – YouTube
- ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン – Wikipedia
- ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンの歴史を振り返る
- 【SANADAが見せてくれる新しい景色とは|新日本プロレス】 – SANADAびいきなプロレスブログ
如何に内藤哲也選手が凄いか、プロレスを知らない人にも分かる情報を2つ。
あのNHKの番組「プロフェッショナル」にも登場したのだから。天下の国営放送にプロレス選手…どれほど熱いかお分かりだろう。
その番組を観たプロレス大好き芸人、オードリー若林さんが自身のラジオでその感想を語った文字起こしがこちら。
そして、スポーツ雑誌として絶大な人気を誇るNumber。その2017年から3年連続実施している、プロレス総選挙で2年連続1位、3年目も中間発表では1位ということだ。
*執筆が6月初旬の為、まだ最終結果が発表されていない。
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