【音楽界のアスリート、DOWNFALL:ウルトラC満載の音楽世界】

【音楽界のアスリート、DOWNFALL:音楽におけるウルトラC】
 「十人十色」 と言うように、人の好みや価値観はバラバラのはずだが、スポーツという分野に熱狂する人は多い。 例えば、オリンピックやワールドカップで、日本が予選を突破した、優勝争いに食い込んだとなると、自分のことのように喜ぶ人は多い。 仲間とスポーツバーに行って、ユニフォームを着て応援する人。 選手が人間業とは思えない、超絶技巧を決めると興奮する人。 翌日のニュースやワイドショー、新聞、SNSはその話題一色。 職場や学校は、その話題で持ちきり。 そして、選手の裏側を追った映像、日々の鍛練や精神性に迫ったドキュメント番組を見て、感動し、涙する。 では、スポーツ以外の分野、音楽の世界ではどうだろう。 音楽に勝敗は無いものの、スポーツ選手が体操でいうウルトラC級の超人的な技をやってのけるように、一般人では考えられない超絶技巧、人間離れした技で演奏することがあるのだろうか? 答えは、「YES」。 もちろん、楽器を演奏すること自体、一般人からすれば凄いことなのだが、プロの中でも段違いのテクニックを持つミュージシャンがいる。 ...

音楽に飢えていた1人のミュージシャンがいた。

とりわけ、超絶技巧テクニックに満ちた音楽を渇望する、1人のミュージシャンが名古屋にいた。

SchopferGIGATONHELL AND HELLというアンダーグラウンドの過激なメタルバンドを渡り歩き、またこのブログでも紹介した、Crocodile Bambieでサポートした経験もあるギタリスト、カスヤ氏

【Crocodile Bambie~地球との一日、浜辺にて~】
1日は瞬く間に過ぎる。 「1日=24時間」だけれども、会社へ行き、仕事をしていたら、一瞬で過ぎ去り、疲労だけが残る。 年齢を重ねるにつれて、1日、1週間、1か月、1年と、時の過ぎゆくスピードがどんどん加速していく。 そんな緊張した心身を緩める為に、癒しを求めて旅に出たくなる。 ゴールデンウィークや夏休み、正月になれば、ハワイやグアム、バリ、モルディヴにニューカレドニアなど南国のビーチ、リゾート地へ出かけ、 広がる青空と大海原に身を委ね、癒されに行く人が多いことをみると、同じように感じているのは僕だけではないだろう。 都会は非常に快適で、何でも備わっていて、便利だ。 けれども、人が本当に心地良いと感じる場所は、自然であり、オーガニックな環境なんじゃないかな。 ビーチで過ごす1日を夢見るも、お金や時間、家庭。いろんな事情でそう簡単に旅行には行けないもの。 そんなあなたに、今日のブログをお届けしたい。 「音楽で旅ができること」 そして、 「仲間と一緒に自然と戯れる雰囲気を味わえる音楽がある...

彼は、名古屋のメタルシーンでもその超絶テクニック、とりわけ、超光速奏法で有名なギタリストである。

15年以上に渡り、東京・名古屋にて数多くのバンドを経験した後、一旦バンド活動を辞め、セッションイベントに顔を出すようなスタイルをとっていた。

そんな日々が続く中、「名古屋に自分が好きな、とにかく速いデスメタル、スラッシュメタル系のバンドがいない」ということから、(恐らく自身初の)リーダーバンド結成を構想するようになる。

『超絶テクニカルギタリストが、過激なヘヴィメタルの究極な像を追求』となれば、ただ事ではない。

まずは、カスヤ氏ひとりで完璧なデモを制作。

対バンやバンド繋がりで知り合い、バンドを組むことになったドラムス、ベーシストにそのデモを渡し、曲を完全に再現する為に日々スタジオに籠り、徹底的に練習する。


(参照:https://www.facebook.com/Downfallinsanity/photos/a.1815735415354370/1816676088593636/?type=3&theater

2017年5月20日。バンド初ライヴにして、自主企画イベントを名古屋で開催。

名古屋の仲間のみならず、東京や大阪からも力のあるバンドがそのデビューを祝いにやってきた。

それ以降もスタジオ練習を重ね、修行しつつ、7月、10月、11月と年内計4本のライヴを行ってきた。

その年の11月。僕は名古屋でDOWNFALLのメンバーに遭遇したことがある。

Deadclawの復活ライヴを見に東京から遠征したのだが、Disk Heavenという老舗レコード店へ遊びに行った際、同じビルの地下にあるスタジオに練習に来たカスヤ氏と遭遇。

その数時間後、ちょっとしたきっかけがあってまたDisk Heavenに戻ると、練習を終えたバンドメンバー全員がいた。

少し話をさせてもらったのだが、

「ギターを弾き過ぎていて。ギターソロをやる必要もないかなってくらい笑」

とのカスヤ氏の発言があり、

「おいおい、どんだけ暴虐なサウンドやねん」と、心の中でツッコみつつ、僕は心の中でニヤリとした。

J-POPをメインとし、へヴィメタルを知らないというベーシストは、「難しすぎてついていくのに必死」と笑いながら教えてくれた。

伝え聞く、とにかく速いデスメタルという暴虐さのイメージとは打って変わって、優しい和やかな空気の、いいバンドだった。

かなり超絶技巧な過激メタルサウンドだと分かったが、この温和な3人からは想像もつかない。バンドに対する僕の興味は、急上昇していった。

まだ結成して間もないバンド。関東でのライヴはまだ先かなと思っていたが、予想以上に早く、その夢は実現した。


(参照:https://photos.google.com/search/_tra_/photo/AF1QipOEywL-C7CQRd1xbtL2X3Gd9Ea9tfhdAh5hqv1O

2018年4月28日。同じ名古屋で活躍するPunhaladaの横浜企画に帯同することとなった。会場は、西横浜のメッカ、El Puente

この会場はいい意味で狭い。一段上がったステージというものは無く、同じフロアで、同じ音楽に、ミュージシャンもお客さんもクレイジーになれる会場。

収容人数もそんなに多くないので、一体感が生まれやすく、他の会場にはない、温かさがある。

DOWNFALLの2018年1発目のライヴは、この横浜での遠征。

結成以降、鍛え続けてきた成果を慣れぬ土地で披露するのだが、結果として、成功であった。

ストレートで、超光速で、過激なメタル。

並大抵な努力では演奏できない、スピードと暴虐性を兼ね備えたメタルは、結成2年目のキャリアとは思えない、完全に他者を圧倒する破壊力、殺傷力を持つ、鋭さ極まりない音であった。

カスヤ氏はギターを人間離れした速さで刻み、音数を詰め込む。

時にヘヴィでスローなリズムに転じるがそんなもの束の間で、基本的にどの曲も速さ極まりなし。

ギターソロは、その超光速演奏の見せ場。

光速ピッキングなのだが、一つ一つの音の粒は立っており、それぞれの音を粗く潰すことなく、滑ったりぶれたりすることもなく、正確に一音一音をきちんと聴かせる。

高音の聴こえ方も素晴らしい。また、どこか独特なメロディーを聴かせてくれたりする。例えるなら…そうだ、『酔った』感覚!

カスヤ氏と言えば、SNSが面白い。

仕事帰りの帰宅BGMを毎日紹介してくれたり、毎晩の仲間とのお茶会の様子を上げてくれたり。過激な音楽が好きだけど、本当は愉快で優しい人なんだ。

『発泡性あるお茶を呑み気持ちよく酔う』

といういつもの感覚を表現したかのようなメロディーが、ギターソロの冒頭で聴ける。

丸みを帯びたメロディーから一転、強烈な光速ギターを繰り出し、ウルトラC級の技を決めていく。

リズム隊の2人も素晴らしかった。

つるんじゃないかと思うほどの強烈な両手・両足の動きで、楽曲の過激性を際立たせるドラムス。

ギターに寄り添ったリズムを作っていくベース。

光速で刻むことはないが、一つ一つ、丁寧に、シンプルなリズムで曲を支えた。

1曲ベースソロが入る曲があるのだが、きっちり正確に決める。

シンプルなリズムのベースに、エクストリームなメタルならではの音数の多いドラムス。

そして暴虐性を持ったスピード感溢れるギター・ヴォーカル。

ドラムス+ベース+ギターというバンド最小限の形=スリーピースバンドとあってか、

また、ギターに焦点を当てたバンドサウンドが明確だからか、凄いシンプルで分かり易いエクストリームなメタルだった。

ライヴは素晴らしく、歓声を浴び、幕を閉じた。

約5か月後の9月に、同じく西横浜EL PUENTEにてライヴを行う機会を得たのだが、

それは、東京を拠点に活動しているLifebloodの企画だった。

名古屋を拠点に活動するDOWNFALLとは接点の無いバンドの企画ということは、つまり、4月の西横浜デビュー戦が成功だったということ。

ショーを観ていたLifebloodのメンバーなのか、はたまたEl PuenteのスタッフがDOWFNFALLの関東デビュー戦を気に入り、呼ぼうとなったのだろう。


(参照:https://www.facebook.com/Downfallinsanity/photos/a.1906979579563286/2087155658212343/?type=3&theater

あっという間に5か月が経ち、9月8日。DOWNFALLの関東2戦目当日となった。

会場に着くなり、ベースが変わったとカスヤ氏から聞き、

「もう笑うよ!」

と言われた。

「こんな過激な音楽で笑うってどういうことですか?」

と問い返すと、

「観てくれたら分かるから!新しいベーシストの加入は、俺の予想を遥かに上回った。」

調べると、コバヤシ氏という新ベーシストは、バリバリのメタルミュージシャン。

自身のプロジェクトとして、Charlotte The Harlotというブラックメタルをやっている。

音源を見つけたので、聴いてみた。

これはいい!凄くいい!

アルバムジャケットを見るに、かなりおどろおどろしい音かと想像したが、いやいや、凄く聴き易い!

ヴォーカルは邪悪な悪魔感あるブラックメタルをベースとした音楽だが、音は正統派メタル。

そのバンド名に由来する、メタルのレジェンド、IRON MAIDENを思わせ、メタルキッズなら一発で乗れるキャッチ―なもの。

また、コーラスパートも入っていて、ますます好感触!

そんな彼が入った新体制DOWNFALLの初ライヴがなんとこの日、西横浜戦だった。

また、前回の西横浜以降ライヴが無かったとのことなので、僕は幸運にも、名古屋のバンドの交代の瞬間を西横浜で目の当たりにすることができた。

第2期DOWNFALLのデビューライヴ。

「いい、これはいい!」

もうこの一言に尽きる。バンドの音はかなり分厚く、過激さと多様性を増し、進化していた。

まずは、ベース。

ギターをフォローするリズムの音数は多く、バンドサウンドに厚みが出た。

ビックリしたのは、1曲目の歌い出しがこのベーシストだったこと!

自身のプロジェクトではヴォーカルを取っている為、DOWNFALLでもヴォーカルを取ることとなったのか。

カスヤ氏と同じく、邪悪なグロウル(=デス・ヴォイス)なのだが、2人の声は全く違う。

1人ずつ歌うとその違いは明らかだし、2人揃ってコーラスを歌うと、これまた新しい味わい。

カスヤ氏は、

「一人でギター弾きまくって、歌うのはきつい」

と、笑いながら前回のライヴ終わりに言っていたが、これは力強いパートナーと巡り合えたものだ、と安堵感に包まれた。

ベースソロではユニークな音でいい主張をするし、ギターソロの間のバックも音数を詰めてリズムを作り、バンドサウンドに抜けを作らない。

往年のロックスターの如く、また巨大なステージで演奏しているかの如く、アンプに身体を向けて音を歪ませたり、客に掛け声を求め煽ったり、拳を上げさせたり。

まさかエクストリームなメタルには意外なステップ踏んで踊ってみたり。

素早いフィンガーピッキングや音選びなどテクニックは申し分無いが、この音楽を、過激なヘヴィメタルを心から楽しみ、

その喜びを会場にいるお客さん全員と分かち合いたいという気持ちが爆発しているところが面白い。

次にドラムス。物静かで真面目なアオキ氏

前回は気づかなかったが、今回はNapalm Deathのシャツを着用というところから、実は生粋のメタル愛を持っていて、過激な音が好きな方だった。

前回は、ギターばかりに僕の目と耳が注目してしまい、ドラムスはシンプルな連打とばかりに思っていたが、実は、かなりの技巧に満ち溢れたリズムを繰り出しているのが分かった。

基本的にはギターが引っ張っていくバンドなので、どの曲でもギターのリズムにドラムスがフォローする形なのだが、リズムパターンが多い。

ギターのリズムが変わる度にドラムスのリズムも変わり、速いもの、へヴィなもの、スローなものと様々なパターンを繰り出す。

両足の連打、片足のみ、両手の使い方、シンバルを挟むパートなどを見事に切り替え、丁寧にこなし、しっかりと決めた。

これは面白い。

このリズムの組み合わせを操るテクニック…かなりの努力をしているのだろう。

けっこうなウルトラC級技をこなしている。

さて、残すはギター。

結果として、今日も絶好調。

ギターを超絶なスピードで刻み、ソロでは音を詰め込み、アームで音を揺らしヴィブラートをかけ、独特なニュアンスを作り出し、

徹底的にギターを弾き倒し、遊び倒し、超絶技巧な必殺技を決めまくる。

約25分のショーはあっという間に終わった。

バンドは今日も圧倒的なテクニックを見せ、会場のメタルキッズを楽しませた。

同時に、3人とも心から楽しんだようだ。

セットリストが一通り終わった時、物静かなドラムスのアオキ氏は、安堵なのか、弾き切った達成感なのか、いい笑顔を見せていたし、

ベースのコバヤシ氏は終始へヴィメタルを楽しみ、笑顔を見せていた。

カスヤ氏も満足そうだった。

現在、DOWNFALLは、ギタリストを募集中。

「難しいからギターをもう一人入れて休みたい」

なんてことをカスヤ氏は言っていたが、

「そんな難しい曲を完璧に弾き切った時、凄い気持ち良く嬉しいでしょ?」

と返すと、ニンマリと頷いていた。

そう、超絶技巧とは、目の当たりにする聴衆を興奮させるのだが、それ以上に弾けた自分自身が喜びで満たされる。

子供の頃逆上がりができた時嬉しかったように、野球選手がホームランを打って興奮するように、ミュージシャンも超絶な演奏ができた時、たまらなく嬉しいもの。

この夜もライヴは成功したようで、他のお客さんからも音源を出してほしいとリクエストがあったそうだ。

以前なら、

「ん、まだかな~まぁそのうちにね」

と言っていたカスヤ氏も、この夜は音源制作に真剣な表情を見せていた。

メタルファン以外にも、音楽における超絶技巧の魅力が伝わっただろうか。

もしそういう人がいたら、このバンド、DOWNFALLに注目してほしい。

「0から1にするのは難しい」

とよく言うが、こんなに難しい曲を書き、バンドを結成させたカスヤ氏

そして、バンドの一員となり、彼の理想の音楽を再現することに全力でサポートしていった第1期DOWNFALLのメンバーに拍手を送りたい。

彼らがいなかったら、バンドは成立していなかったかもしれないし、僕らファンを魅了できなかったかもしれない。

そして、その活動を更に推し進めることになった第2期DOWNFALLに期待したい。

彼らの次のライヴは、10月25日の名古屋。

フランス、ノルウェー、オランダのバンドとタイバン。

カスヤ氏は言う。

「名古屋にもこんな凄いバンドがいるってことを知ってもらいたい」

なんとも力強い言葉だが、

「そして終わったら、日本のソウルフードであるハッピーターンをプレゼントする」と、相変わらず心温まる優しいジョークで和ませてくれる。

そして、こうも加えた。

「名古屋と言えばOUTRAGE。30年以上も第一線で曲を発表し演奏しているあの人たちは凄いが、負けたくない」

10月25日の名古屋での国際戦は、どんな結果になるのか。

それほど待たずして、音源を発表するのか。

第3期DOWNFALLは結成されるのか。

結成2年が終わろうとしているバンドは、将来に向けて非常に明るい眼差しを持っている。

これからどんなバンドに成長していくのか、僕は楽しみで仕方無い。

次に僕がこのブログでDOWNFALLを取り上げるのは、きっと、音源を発表する頃だろう。

音と歌詞からインスピレーションを得て、どんな世界が見えるのか、そこに焦点を当てて、書いてみることにしよう。

西横浜での成功を思うと、音源があれば、きっと全国のいろんな人たちを魅了できるだろうと確信できる。

2019年か2020年か。

ゆっくりでも着実に修行し、鍛え続けるバンドなので、音源がリリースされる日が早く来ることを望みつつ、バンドの歩み方を尊重し、その日をじっくりと待とう。

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