1日は瞬く間に過ぎる。
「1日=24時間」だけれども、会社へ行き、仕事をしていたら、一瞬で過ぎ去り、疲労だけが残る。
年齢を重ねるにつれて、1日、1週間、1か月、1年と、時の過ぎゆくスピードがどんどん加速していく。
そんな緊張した心身を緩める為に、癒しを求めて旅に出たくなる。
ゴールデンウィークや夏休み、正月になれば、ハワイやグアム、バリ、モルディヴにニューカレドニアなど南国のビーチ、リゾート地へ出かけ、
広がる青空と大海原に身を委ね、癒されに行く人が多いことをみると、同じように感じているのは僕だけではないだろう。
都会は非常に快適で、何でも備わっていて、便利だ。
けれども、人が本当に心地良いと感じる場所は、自然であり、オーガニックな環境なんじゃないかな。
ビーチで過ごす1日を夢見るも、お金や時間、家庭。いろんな事情でそう簡単に旅行には行けないもの。
そんなあなたに、今日のブログをお届けしたい。
「音楽で旅ができること」
そして、
「仲間と一緒に自然と戯れる雰囲気を味わえる音楽があること」
を紹介しよう。
ブログ第3弾バンドは、名古屋のCrocodile Bambie。
現在、鋭意1stフルアルバムを制作中の彼らが2013年5月にリリースした初音源、4曲入りのEP、“Flexible Vegetables”のレビューをお届けする。
1. Freedom / 自由への目覚め
地球はゆっくり、ゆっくりと。
誰にも邪魔されず、自分のペースで、今日も目覚める。
地球自身の呼吸で、ゆっくりと。
在りのまま、自然に、今日も目を覚ます。
この大きな身体が起きる時、
大きく、太く、へヴィなグルーヴが生まれる。
元気いっぱいの大きな火の玉。
太陽は目の前に広がる水平線から少しずつ顔を出し、
ゆっくり、ゆっくりと、大空に昇っていく。
すると、大空は暗闇を消し、
少しずつ青く、青く染まっていく。
海の向こうから風が優しく吹き、海面には波が揺らめき、
浜辺へとその力を伝えていく。
海岸沿いの木々、花、動物たちを、陽の光とそよ風で起こしていく。
動物も植物も、皆が根を張るこの地球の呼吸に合わせ、
自然に、そのままに、目を覚ましていく。
砂浜に寝転がっていた僕も仲間たちも、
自然に揺り動かされ、自然の呼吸に自分の息づかいを合わせ、
自由を感じながら目を覚ました。
2. Do That Again / あの楽しい遊びをもう一度
ベースの太いうねりは大地の息づかい。
その上を生命を得たドラムスが喜び、跳ね回り、ギターは煌びやかな太陽のよう。
自由に自然に目覚めた動植物は、
生命を得た、目覚めたことに喜びを感じ、笑顔で歌い出す。
木々を登っていくレッサーパンダに木の実を食べるリス。
草原に佇み、大地の温もりを感じるキツネ。
海を駆け抜ける馬に色とりどりの鳥。
動物たちは、自由に本能のままに、大地を蹴り、風を感じ、遊び回る。
いつもの遊び。
仲間同士、大自然を感じながら、
「あの楽しい遊びを今日もやろうよ!」
と言わんばかりに。
僕らも鬼ごっこにかくれんぼ、木登り、砂遊び。
テレビゲームとかじゃなく、昔子供の頃にやっていた遊び。
友達と公園で走り回っていたあの頃、
日が暮れるまで、泥だらけになっても構わず、
走り回って、皆で笑い合っていた遊び。
「子供の頃にやった遊びをもう一回やろう!」
3. Still Sea / この穏やかな海で
気持ちの良い汗をかいたのなら、次は海へ繰り出そう。
丸太を組み合わせ、仲間と作った筏で、大海原へ繰り出そう。
ナイフで削ったオールを持ち、皆で呼吸を合わせ、水平線の向こうへ漕ぎ出そう。
青く、どこまでも広がる海。
ゆらりゆらりと、小さな波が僕らを沖へと誘う。
大空を見上げれば、元気いっぱい光り輝く太陽が、僕らを優しく見守る。
陽の光が水面を照らし、海は輝く。
空にはカモメの群れ。
さぁ、海へ飛び込もう。
泳ごう。
魚やカメと一緒に、海を探検しよう。
木にナイフをくくりつけた、お手製の銛で、今晩の食糧を調達に向かおう。
この穏やかな海に身を委ね、身も心も癒そう。
4. White Pagan Melodies / 純粋な自然のメロディー
太陽はゆっくり、ゆっくりと。
森の方へと沈んでいき、真っ暗な夜空の時間が始まった。
浜辺で焚き火。
捕まえた魚をたくさん焼いては、仲間たちとお腹いっぱいになるまで食べる。
ギターを持ってきた僕が何気なく弾き始める。
自然を感じながら、今日一日を思い出しながら、指の動くままにメロディーを弾くと、仲間は自分たちの楽器、タブラやハーモニカ、マンドリンを弾き出す。
皆、仲間。
我が我がと主張するのではなく、お互いの呼吸を気にかけながら、お互いの出す音に耳を澄ましながら、自然を感じながら、メロディーを作っていく。
自然のグルーヴを感じながら、生まれたグルーヴ。
それに合わせ、歌い出す者、踊り出す者。
皆が笑顔に陽気に楽しむ、夕闇の演奏会。
知らぬ間に空は真っ暗、無数の星が地球を照らす。
動物も、植物も。魚たちも寝ただろう。
僕らも、もう寝る時間。
浜辺に寝転がり、地球の呼吸に合わせ、ゆっくりと目を閉じる。
僕らを起こさないようにと、
海の向こうからやってきた一筋の風は、静かに焚き火を消し去り、
僕らを温めた火は、白い煙となって音も立てず、消えていった。
この原稿を書きながら何度もこのEPを聴いているが、やはり僕の心はビーチにトリップしている。
寒さが厳しかった冬から春へと変わり始めた今。
青空が見える日も多くなってきた今日この頃。
都会の青空でもこのEPを聴いていると、どこか別の地にいるような心地になる。
自然と音楽のケミストリーと言おうか。凄い魔法だ。
Crocodile Bambieの正確な誕生時期は不明だが、Facebookのofficialを確認する限り、最も古い投稿で2011年の3月。
メンバーはベテランの3名。
リーダーは、30年以上続くベテランへヴィメタルバンド、OUTRAGEのベーシスト、安井義博氏、通称“ボス”。ヴォーカルも担当する。
この方との出逢いはOUTRAGEだが、彼の表現とへヴィメタルという枠に留まらない音楽性に、僕は凄い影響を受けている。
「人生を変えてもらったベーシスト」と言っても過言ではないほど。
まずはそのプレイ。
ある曲では、ハードコアやパンクスプリットを持ったスピード感溢れる粗い轟音で、僕の闘争心を湧かせたと思うと、別の曲では、うねるグル―ヴィーなリズムで僕を躍らせる。
そんなベースを筋骨隆々の肉体で表現する。
このような、ハードさもポップさも兼ね備えたベーシストはそうそういない。
そして、次に音楽性。
安井さんが立ち上げたこのCrocodile Bambieというバンドのおかげで、僕の音楽世界はかなり広がった。
それは、へヴィメタルの時代を終わらせたというグランジやオルタナティヴロックと呼ばれるジャンルが聴けるようになったから。
安井さんがSNSに投稿するバンドを聴いていくと、どれも好み。
ポップなものからハードなもの、サイケデリックなものまで、ジャンルも年代も多様でカラフルな音楽知識に、僕はいつも勉強させてもらっている。
実際お会いした時に教えてもらったバンド、“Phish”は僕も僕の父親もハマったし、先日勧めてもらった、“13th Floor Elevators”のサイケ・ぶっ飛び具合には、熱狂した!
大好きなミュージシャンはたくさんいるが、プレイ、そして、知識の両面から、今一番大好きなベーシストは、安井さんである。
リズム隊の相方となるドラマーは、30年以上叩き続けているドラマー榊間浩氏。
現在、6バンドを掛け持ちという引っ張りだこであり、今も尚精進すべく、毎晩名古屋の路上で叩き続けている。
譜面をなぞるような真面目な叩き方では出せない、躍動的で野性的な表現は、その30年以上のキャリアと彼の人間性から生まれたもの。
僕をディープな世界へ誘ってくれた恩人である彼が所属するバンドを、今後一つずつ紹介していくが、それを全てまとめて読んでもらうと、いかに柔軟性のあるミュージシャンで、ジャンルに囚われず、音楽そのものを愛する人だと分かってもらえるだろう。
このリズム隊に華を添えるギタリストが岡氏。
他ではなかなか聴けない煌びやかなギターを聴かせてくれる彼は、自らエフェクター(音を変化させる魔法の箱)を作り上げる職人でもある。
音に拘りを持つ方で、美しさ、煌びやかさ、華やかさ、エレガントさを感じる、独自のトーンを出す。
その美しさ極まりない音を、躍動的なリズム隊の上で躍らせ、歌わせると、曲が一級品になる。
2年半ほど前だったか、名古屋にてライヴを観た時、岡さんの音楽観を覗きたく、また、新たな音楽世界を勉強したいと、お勧めのCDを尋ねた。
すると返事はこうだった。
「David Sylvianの”Brilliant Trees”」
東京へ戻って早速、手に入れた。
聴いて納得…この艶、美しさ、ミステリアスさ、オリジナリティの追及…岡さんという人柄を象徴する音だった。
これはそのレコードの1曲目であり、プロモーションビデオとして映像化されたもの。
初めて聴いたその当時、1曲目の衝撃と納得が今でも忘れられないので、この曲を紹介するが、
レコード全編通して、一筋縄ではいかないミステリアスな美しさが聴けるので、興味を持たれた方は、是非手に入れて頂き、じっくりと聴いてほしい
冒頭でも触れたが、現在、Crocodile Bambieは、1stフルアルバムを鋭意制作中。
その様子は度々SNSに写真が上がっているが、なかなかの傑作の香りが伝わってくる。
ほとんど仕上がってきていて、年内にはリリースされるようなことを聞いているが、新譜が聴けるその日まで、まだまだこのEPで楽しめそうだ。
100回以上聴いているのに、飽きが来ない。
4曲、隅々まで把握していても、これらの曲には、「トリップ」という魔法がある。
次のレコードではどんなトリップができるのか楽しみに待ちつつ、それまではこの4曲で大自然と戯れよう。
それでは最後に、このEP1曲目、”Freedom”のティーザー映像でお別れしよう。
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