「十人十色」
と言うように、人の好みや価値観はバラバラのはずだが、スポーツという分野に熱狂する人は多い。
例えば、オリンピックやワールドカップで、日本が予選を突破した、優勝争いに食い込んだとなると、自分のことのように喜ぶ人は多い。
仲間とスポーツバーに行って、ユニフォームを着て応援する人。
選手が人間業とは思えない、超絶技巧を決めると興奮する人。
翌日のニュースやワイドショー、新聞、SNSはその話題一色。
職場や学校は、その話題で持ちきり。
そして、選手の裏側を追った映像、日々の鍛練や精神性に迫ったドキュメント番組を見て、感動し、涙する。
では、スポーツ以外の分野、音楽の世界ではどうだろう。
音楽に勝敗は無いものの、スポーツ選手が体操でいうウルトラC級の超人的な技をやってのけるように、一般人では考えられない超絶技巧、人間離れした技で演奏することがあるのだろうか?
答えは、「YES」。
もちろん、楽器を演奏すること自体、一般人からすれば凄いことなのだが、プロの中でも段違いのテクニックを持つミュージシャンがいる。
そんな超絶技巧が顕著に現れている世界が、『へヴィメタル』である。
今回の記事で紹介するバンドは、名古屋のDOWNFALL。
2016年結成とまだ新しいバンドについて、第1期~第2期の流れを書いていく。
さて、なぜ冒頭にスポーツや超絶技巧について話したのかというと、執筆に当たり、どういったテーマがこのバンドを表現するのに伝わり易いのかなと考えていくと、
「超絶技巧のアスリート集団」というイメージに辿り着いた。
バンドの創設者でギター・ヴォーカルを務めるリーダーのカスヤ氏と話していた時、
「超絶を極めた時の快感」なんて話題にもなったので、今回は、音楽における超絶技。
エクストリームスポーツならぬ、『エクストリームミュージック』をテーマに、バンドのお話をしよう。
この記事を読んでくださっている方々は、メタルファンが多いと思うが、そうではない方もいると思うので、バンドについてお話する前に、まずこの記事では、
【音楽界のアスリート、DOWNFALL:音楽におけるウルトラC】と題して、へヴィメタル界の曲芸をいくつか簡単に紹介しよう!
今回は2記事同時掲載なので、そんなの知っているっていうメタルキッズは、次の記事【音楽界のアスリート、DOWNFALL:ウルトラC満載の音楽世界】へ!
そもそもなぜ、へヴィメタルにそこまで曲芸が生まれるのか…
いろんな本やインタビューを読んできたが、その答えを読んだことは無い。
へヴィメタルと真剣に向き合って16年で見聴きしたことから想像するに、次のようなものかなと考える。
・へヴィメタルが『男のロマンの音楽』だから。
⇒超絶技巧を決め、他のミュージシャンよりも凄いことをやってのけたい。誰も書いたことの無い曲を書きたい。
・へヴィメタルがヒロイックな音楽だから、強さを見せたい。
⇒必殺技、超絶技を決め、ドラマチックな曲を書きたい。
・そこに興奮するファン、凄いと感激するファンがいる。
・超絶技巧の音楽=クラシックをベースとした曲があるから。
さてさて、『超絶技巧』と4文字熟語でシンプルに伝えることはできるが、メタルに慣れてない人にとっては、よく分からないはず。
そこで、代表的なミュージシャン、バンドの映像をいくつか紹介しよう。
メタルファンの方からは、
「このバンドより、こっちじゃない?」
「いや、あのバンドよりもこれでしょう」
なんて意見が出るのは百も承知だが、あくまでもこの記事は超絶技巧だけを紹介する記事ではなく、DOWNFALLの話をする前のエクササイズということなので、その辺はご了承ください!
①RACER X “Scarified”
Mr. Bigのギタリスト、ポール・ギルバートと言えば、その名を聞いたことがある洋楽ファンもいるかも知れない。
このバンドは本当に日本で人気があり、ジャパンツアーを行うとなると、東京は武道館公演、その他名古屋・大阪でも大きな会場でプレイするし、仙台や福岡、金沢と、他の来日バンドが廻らないような地方都市も訪問し、ライヴをやる。
比較的ポップで聴き易く、一方でテクニックも持った楽器陣という点からも幅広い客層を持つ。
そんな彼が、Mr.Bigの前に組んでいたバンドが、超絶技巧テクニック満載のへヴィメタルバンド、RACER X。
このライヴ映像は再結成後なので、オリジナル編成のツインギター体制ではない。
また、ヴォーカルなしのインストゥルメンタル曲ではあるが、彼自身のテクニックがストレートに伝わる映像になっている。
ポール・ギルバートの指の動きと正確さに注目してほしい。
ギターを弾かない人は、この曲に合わせてエアギターしてみよう!
ギターのネック上を走る左手の動き、右手のピックさばきがアホみたいに速い!
メロディーがブレることはないし、一つ一つの音がきちんと際立っていて、正確だということ分かってもらえる。
また、ギターと同じ動きをしているベースも神がかっている。
ベースの音はバンドサウンドでは埋もれがちとよく言われるが、この映像では判別し易い。
よーく聴いてみよう。
メロディーをクリアに演奏しているギターに対し、少し太く粗い、歪んだ音で同じくメロディーラインをなぞっているのがベース。
ギターよりも太い弦のベースは、左指の押さえる力、右指の掻き鳴らす力がかなり必要になる。
またこのベーシストはピックではなく、指弾きということを踏まえると、ベーシストのジョン・アルデレッティもアホってことが分かる。
余談だが、ポール・ギルバートは、90年代に放送していたKinKi Kidsの番組“LOVE LOVE あいしてる”にも準レギュラーとして参加していたこともある。
2年間日本に住んでいたし、嫁さんは日本人だし、日本語で歌ったヘンテコな曲まで作っている。
参考までにその曲を紹介しよう!
「Boku No Atama(ぼくのあたま)」という意味不明な曲だが、けっこう気持ちの良い爽やかなポップソング。
初めてラジオで聴いた時、もうジョークかと笑い転げた。
②Dragonforce “Through the Fire and Flames”
同じくバンド全員が超絶なのだが、もうサーカスのように曲芸をキメまくるのが、Dragonforce。
メロディーとスピードを兼ね備えたメタルバンドは世界中にウン万といる。
メロディックスピードメタルと言われ、2000年代初頭、メロスピブームなんてのも起こった。
2000年にリリースしたデモが注目され、2003年リリースした彼らの1stアルバムは、そのシーンにいたバンドたちを遥かに飛び越えていたスピードを持っていた。
もうエクストリームスポーツのような感覚、人間離れした超人バンドだった。
あまりの圧巻っぷりに、僕は当時、友人と笑い転げてしまったくらい!
テンポを表す数値として、BPMというものがある。
1分間当たりの拍数を数値で表したもので、もっとシンプルに説明すると、「1分間に何回心臓が動くか」ということ。
Dragonforceは、この曲で、『bpm=400』を叩き出している!
もうアホということが理解してもらえるだろう。
そうそう、これまた余談だが、このバンドも、日本の人気ヴァラエティ番組と関わりがある。その番組とは、“月曜から夜ふかし”。
詳しくは、各自調べてみてください!(説明すると長くなっちゃうんで汗)
③Nile “Black Seeds Of Vengeance”
Dragonforceはまだメロディーがしっかりとあり、ポジティヴなフィーリングがあった。
では同じ『全員が超絶バンド』でも、そのスピードを『威圧』的に捉え、暴虐さ・恐ろしさ・過激さの方向に振り切ったならば、どんな恐ろしい音になるのか。
デスメタルバンド、Nileを紹介しよう。
名前はNileだが、アメリカ出身。エジプト的なメロディーとデスメタルを融合させ、またエジプトの歴史や文化を歌詞に取り入れたバンだド。
このライヴビデオの強烈さ、先ほどのDragonforceとは180度異なるタイプのエクストリームミュージックに、全くこの手の世界を知ない人は、ぶっ飛ぶこと間違いない。
こういったものが、へヴィメタルにおけるウルトラC級の技である。
見事に演奏するミュージシャンは、アスリートの如くヒーローとなり、我々メタルキッズは、目を丸くして演奏に釘付けになり、興奮する。
普段ポップスばかり聴く人には意外かもしれないが、ライヴ中、ギターソロコーナーのみならず、ドラムソロ、キーボードソロコーナーを設けるメタルバンドもいるほど。
メタルを知らない人でも、スポーツの超人技と思いつつ、これら3つの映像を観てもらうと、なんとなくイメージしてもらえると思う。
これら3曲は、数あるメタル史に光る超絶技巧の中のほんの一部なので、興味を持ってくれた方は是非、ネットで検索してほしい。
メロディックなバンドから激しいバンドまで、世界中のいろんなタイプの超絶技巧が聴けるだろう。
そして、本題。
超絶技巧に興味を持った方には是非、今日紹介するこのバンドも楽しんでもらえること間違いなし!
名古屋のDOWNFALL。
彼らについては、次の記事、【音楽界のアスリート、DOWNFALL:ウルトラC満載の音楽世界】へ!
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